この一枚の金貨には、イギリス帝国がもっとも輝いていた時代の息吹が宿っています。
1848年――ヨーロッパ中で革命が相次ぎ、社会が激変する中、イギリスは産業革命とヴィクトリア女王の安定した統治により、世界の中心へと歩みを進めていました。
その年に発行された本品は、若きヴィクトリア女王の気品を湛えた肖像を持つ、通称「セカンドヘッド」と呼ばれるタイプのソブリン金貨です。
世界的鑑定機関PCGS社により「MS64」と評価された本品は、全世界で同グレードはわずか7枚、これより上のグレード(MS64+)はたった2枚しか存在しない、まさに“現存する奇跡”ともいえる一枚です。
金の純度は91.67%(22金)、重さは約7.98グラム。この数字が意味するのは、単なる価値の保証ではなく、時代を超えて輝き続ける“王室の威厳”そのものです。
【コインのデザイン】
表面には、若き日のヴィクトリア女王の左向き肖像が精緻に刻まれています。
凛とした表情には、当時まだ30歳に満たなかった若き女王が帝国を背負いながら未来を見据える力強さが感じられます。銘文「VICTORIA DEI GRATIA(神の恩寵によるヴィクトリア)」は、その威厳を静かに強調します。
裏面には、四分割された英国王室の盾紋章が描かれ、その周囲には月桂樹(ラウレル)が美しく配されています。
月桂樹は古代より“勝利”と“平和”の象徴とされており、ヴィクトリア朝の繁栄と帝国の威光を体現しています。
この構図は、英国王室の誇りと統治の正統性、そして平和への祈りを巧みに融合させた、まさに“権威と芸術の頂点”と呼べる名デザインです。
【歴史的背景】
1848年は“革命の年”と呼ばれ、ヨーロッパ各国で政治的な大変革が起きた年です。
フランス、オーストリア、イタリアでは王政が揺らぎ、民衆が変革を求めて立ち上がる中、イギリスは異なる道を選びました。
ヴィクトリア女王の穏やかな統治のもと、国民は安定と成長を享受し、帝国の繁栄は加速していきました。
このソブリン金貨は、そのような“激動と安定が交差した瞬間”に発行された、まさに時代の証人とも言える存在です。
本コインは1848年のものですが、1840年代のトップグレードに近い高鑑定品については、オークションをはじめとするコイン市場において、入手が大変困難となっています。
商品の諸元
【年 代】1848年
【グレード】MS64(PCGS社)
【材 質】金(品位:91.67%)
【質 量】約7.98グラム
【直 径】約22.05mm
【コンディション】中古
【補足事項】本コインは、「セカンドヘッド」と呼ばれるタイプです。